「AI臭さ」の正体は文末にある——単調な文末表現を解消する多様化ルール

AIが書いた記事を読んでいて、こんな感覚を覚えたことはありませんか。

「読んでいて疲れる」「リズムが単調」「小学生の作文みたい」

内容は間違っていない。情報も整理されている。でも、何か引っかかる。

実はこれ、AIに限った話ではありません。新人のライターや編集者がよく注意される点でもあります。筆者自身も、編集者になりたての頃に経験しました。正しい情報を書いているのに、なんか気持ち悪い。読んでいて引っかかる。その正体が何なのか、当時はよくわかりませんでした。先輩に「文末が揃いすぎている」と指摘されて初めて気づいた。

その原因の多くは、文末表現の単調さにあります。これが「AI臭さ」の正体のひとつです。

「AIっぽさ」の特徴——なぜ文末は単調になるのか

生成AIは、確率的に「次に来る言葉」を予測して文章を生成します。日本語の記事において「次に来る言葉」として確率が高いのは、「〜です」「〜ます」「〜した」といった標準的な文末表現です。

つまり、何も指示しなければ、AIは最も「無難な」文末を選び続けます。結果として、段落全体が同じ文末で揃ってしまう。

> 「このサービスは2025年にリリースされました。ユーザー数は急速に伸びました。現在は100社以上に導入されています。今後もさらなる拡大が期待されています。」

読めます。でも、平坦です。記者が書いた文章には感じられない。

文末が単調だと何が起きるか

読者が離脱しやすくなる
同じリズムが続くと、読者は「なんとなく読みにくい」と感じます。理由はうまく言えないけれど、おそらく単調さが集中を妨げているのでしょう。離脱につながる可能性が高まります。

発言者の印象が均質化する
インタビュー記事で、すべての発言の紹介が「〜と語った」「〜と語った」「〜と語った」と同じ動詞で続くと、発言者の熱量や温度感が伝わらなくなります。

記者の存在感が消える
多様な文末表現は、記者が意図を持って文章を構成している証拠です。それが失われると、「AIが書いた記事」という印象を読者に与えてしまいます。

CLAUDE.mdの文末多様化ルール

アンジーで使っているAIへの指示を記したCLAUDE.mdには、以下のルールを定義しています。

文末の多様化(必須):
  - 同じ文末表現の3回以上の連続を禁止

  【敬体の場合】
  です、ます、でした、ました、でしょう、でしょうか
  〜語った、〜示した、〜明かした、〜述べた

  【常体の場合】
  だ、である、た、する、した
  〜語った、〜示した、〜明かした、〜述べた

  【共通技法】
  - 体言止め(名詞で終わる)
  - 連体形止め(〜している、〜という)
  - 短文と長文の混在

「3回以上の連続を禁止」というルールがポイントです。2回同じ文末が続くのは自然な文章にも起こります。でも3回続くと単調さが際立ちます。

CLAUDE.mdはプロジェクト単位で設定できるため、メディアや発注先ごとにルールを使い分けることができます。「A媒体は記者文常体・引用文敬体、B媒体は全敬体」といった切り替えも、それぞれのプロジェクトフォルダにCLAUDE.mdを置くだけで対応可能です。個人ライターが自分の文体の癖——体言止めを好む、短文を多用する、特定の接続詞をよく使うといった特徴——をルールとして定義しておくことも有効です。Claude Codeを活用した個人の文体設定は、一度作れば繰り返し使える資産になります。

発言紹介の動詞バリエーション

特に意識したいのが、発言者の言葉を紹介する動詞です。

「〜と語った」だけを使い続けると、どんな発言も同じ温度感に見えてしまいます。CLAUDE.mdでは、以下のバリエーションを使い分けるよう指示しています。

動詞使いどころ
語った思いや経験を込めた発言
述べた論理的・説明的な発言
説明した詳細や背景を解説する発言
明かした初めて公開する情報・裏話
強調した特に力を込めた発言
振り返った過去の経験や出来事について
示したデータや実績を提示する発言
続けた前の発言から続く場面

これらを文脈に合わせて使い分けることで、発言者の温度感や発言の性質が読者に伝わりやすくなります。

体言止めと短文の効果

文末の多様化で特に効果的なのが、体言止め短文の活用です。

体言止めとは、文末を名詞で終わらせる技法です。

> 「2025年、サービスは大きな転換期を迎えた。急成長の裏にあったのは、チームの徹底した顧客対話。」

「顧客対話。」で終わることで、リズムに変化が生まれ、読者の目が止まります。

短文も同様です。長い文が続いた後に短い文を入れると、テンポが変わり、読者の注意を引き戻す効果があります。

> 「複数の部門が連携しながら、データ基盤の整備を進めてきた。苦労の連続だった。しかし、その経験が今の強みになっている。」

「苦労の連続だった。」という短文が、読者の感情に刺さります。

単調な文末表現を解消する——Before / After で見てみる

単調な文末表現の例
> 「2023年にプロジェクトが始まりました。最初は3人のチームでした。半年で10人に増えました。現在現在は20人以上の組織に成長しました」

文末を多様化した例
> 「プロジェクトが始まったのは2023年のことです。当初はわずか3人という小さなチームでした。それが半年で10人に膨らみ、現在では20人以上が関わる組織になっています」

同じ情報を伝えているのに、印象がまったく違います。後者にはリズム感が生まれ、記者の意図と編集感覚が感じられます。声に出して読んでみると違いがわかりやすいです。

AI記事の品質チェックと改善サイクルをどう作るか

実は、この文末多様化ルールは、CLAUDE.mdに書いてもAIが完璧に守れないことがあります。特に長い記事になると、前のパートで使った文末表現を忘れることがあるからです。

そのため、CLAUDE.mdにはAIが自己レビューするためのチェックリストも設けています。

チェック項目:
- 同じ文末表現が3回以上連続していないこと
- 発言紹介の動詞が単一表現に偏っていないこと
- 体言止め・短文が適切に使われていること

AIが生成した記事を人間が確認するとき、内容チェックと並行してリズムチェックも行う。これが、AIと人が協働して質の高い記事を作るための実務です。

ただし、ルールを設定したからといって、リズムのいい文章になるとは限りません。「3回連続していない」というルールを守っていても、読んでみると引っかかる。文末が揃っていなくても、なんとなく平坦に感じる。そういうことは起きます。

ルールはあくまで編集業務の支援をするための整理の仕組みです。その先にある「緩急の勘所」は、数値化できるものではなく、経験と感覚が必要な領域です。

KIJI Baseでは、設定ファイルの構築だけでなく、その勘所をお伝えする伴走支援を行っています。AIが生成した文章のどこに手を入れるべきか、どこは信頼していいか——その判断基準を、実際の記事制作を通じて身につけていただけます。設定ファイルと人の目、その両方が揃ってはじめて、AIと人が協働するワークフローは確かなものになります。

これで、CLAUDE.mdにおける執筆関連の主要ルールの解説は一通り終わりました。次回は、今回も少し紹介した、AIに自己レビューしてもらう指示についてお届けします。