コンテンツマーケティングに取り組む企業が増えています。自社サイトにブログを開設し、オウンドメディアを立ち上げ、採用広報にも記事を活用する。その流れはここ数年でさらに加速しました。
一方で、「始めたはいいが続かない」という声も多く耳にします。担当者が忙しくなると更新が止まる。外注するとコストがかかるうえにノウハウが社内に蓄積されない。生成AIを使ってみたら、なんとなく読めるけれど薄い記事しかできない——。
こうした課題を解決するためにつくったのが、記事制作の内製化伴走支援サービス「KIJI Base(記事ベース)」です。この記事では、KIJI Baseがどのような考え方で設計されたのかをお伝えします。
AI以前のコンテンツ制作はこんなに大変だった
まず、AI以前の取材・記事制作がどのような工程だったかを振り返ってみます。
企画から始まり、事前調査、取材のセッティング、質問票の作成、取材本番、文字起こし、構成、執筆、編集、校正、入稿——ざっと並べただけでこれだけの工程があります。そして、これらをすべて一人の担当者が抱えるか、複数のライターや編集者に分散させながら進めるかという話になります。
なかでも特に時間がかかっていたのが、文字起こしと初稿の執筆です。
1時間のインタビューを文字起こしすると、それだけで2〜3時間かかることは珍しくありませんでした。誰が何を話したかを整理し、不要な口語表現を除きながら読みやすく直す作業は、地道で消耗するものです。初稿の執筆も同様で、構成案から原稿に起こす作業には熟練のライターでも相応の時間が必要でした。
結果として、取材記事1本の制作には、インタビューの時間を除いても、丸1日以上の工数がかかることが一般的でした。
AIが加わることで何が変わったか
生成AIの登場によって、このプロセスの一部が劇的に変わりました。
調査・構成設計の段階では、PDFや参考資料をAIに読み込ませ、論点整理や構成案の叩き台をつくることができます。文字起こしはAIが数分〜数十分で処理します。執筆も、適切な指示があれば、AIが短時間でドラフトを生成します。
弊社での計測では、AI導入前と比べて記事1本あたりの制作工数がおよそ半分以下、原稿の種類によっては6分の1以下になりました。
ただし、ここで重要な前提があります。
AIが生成したものをそのまま使うと、読んでいて「なんとなくそれっぽいけど薄い」という記事になりがちです。企画の深さ、構成の骨格、インタビューでの問いかけ、事実確認、最終的なトーンの調整——これらは人間の判断が不可欠な工程です。
つまり、AIは「人の代わり」ではなく、「人の補助をし、仕事を速くする道具」として使う設計が必要なのです。
KIJI Baseが考える役割分担
この考え方を整理したのが、以下の制作フローです。
- 0 企画立案:Claude.aiやGeminiなどのAIを使って調査・発想を補助する
- 1 ブリーフィング:目的・読者・訴求軸を人が整理する
- 2 調査・構成設計:PDFや調査資料をAIに渡し、構成の叩き台を生成する
- 3 取材・インタビュー:人が主導する(英語対応も含む)
- 4 文字起こし・クレンジング:AIが自動処理し、人が誤字脱字修正を行う
- 5 執筆・編集:AIが初稿を生成し、編集者が事実・文脈・専門用語を精査する
- 6 レビュー・納品:AIが誤字脱字・ルールチェックを行い、人が最終確認する
取材と最終判断は人が担う。それ以外の工程でAIが速度と品質を支える。この設計思想がKIJI Baseの核心です。
設計の土台になったのがCLAUDE.md
この仕組みを動かすうえで欠かせないのが、CLAUDE.mdというファイルです。
CLAUDE.mdは、生成AI(Claudeなど)への業務指示をまとめたテキストファイルです。「どんなトーンで書くか」「引用はどのくらいの割合にするか」「口語表現をどう書き言葉に変換するか」「年月は必ず絶対値で書く」といったルールを、あらかじめ細かく定義しておきます。
このファイルを渡すことで、Claudeは毎回ゼロから指示を受けるのではなく、一定の品質基準に沿った記事生成ができるようになります。弊社では年間500本以上のコンテンツ制作を通じてこのファイルを磨いてきました。
CLAUDE.mdには、大きく分けて以下のような内容が含まれています。
- 記事タイプの定義(ナラティブ形式、Q&A形式、講演レポート、パネルディスカッションなど)
- 引用率の管理ルール(全体の15〜30%に収める)
- 口語表現の書き言葉変換ルール(「やっぱり→やはり」「〜かなと思います→〜と思います」など)
- 文末表現の多様化ルール(同じ文末を3回以上連続させない)
- 絶対値表記のルール(「今年」「昨年」は禁止、「2025年」と書く)
- 発言者の帰属表現パターン
- プリセット設定(媒体ごとのトーンや文字数のテンプレート)
これらは、プロの編集者が長年の実務で身につけてきた「当たり前の作法」を、AIが再現できる形に翻訳したものです。
この連載では、CLAUDE.mdの中身を解説します
KIJI Baseでは、このCLAUDE.mdを、サービスにご興味をお持ちの方に無償でお渡ししています。
ただ、ファイルを渡すだけでは「うまく使えない」という声も聞きます。企画の詰め方、構成のレビュー、インタビューの進め方——そこは人間の判断が必要な部分であり、ツールだけでは解決しません。そのギャップを埋めるのが、KIJI Baseの伴走支援です。
この連載では、CLAUDE.mdに書かれているルールを一つひとつ取り上げ、「なぜそのルールが必要なのか」「実際にどう効いてくるのか」を解説していきます。記事制作にAIを活用したいと考えている方に、実践的なヒントをお届けできると思います。
KIJI Baseについてのお問い合わせ・CLAUDE.mdのご請求はこちらから
https://andg.net/kiji-base
