AIやAIエージェントへの「業務指示書」——CLAUDE.mdとは何か、なぜ必要か

生成AIを使って記事作成を試みたことがある方は、こんな経験をしたことがないでしょうか。

「それっぽいけど、なんか薄い」「毎回トーンが違う」「口語表現が残っていて使えない」「同じ指示を毎回入力するのが面倒」——。

これらはすべて、AI/AIエージェントへの指示が「その場限り」になっていることから生じる問題です。その解決策が、CLAUDE.mdです。

CLAUDE.mdとは何か

CLAUDE.mdは、Claude(生成AI)への業務指示をまとめたテキストファイルです。Claude Codeのリポジトリ(プロジェクトフォルダ)に置いておくと、Claudeが毎回自動的に読み込み、そこに書かれたルールに従って動作します。

.mdファイルとは、Markdown(マークダウン)形式のテキストファイルのことです。メモ帳やテキストエディタで開けるシンプルなファイルで、特別なソフトウェアは不要です。

Claude.aiやChatGPTなどチャットUIのAIに使う場合は、ファイルを会話に貼り付けて読み込ませることもできます。その場合、ファイル名はWRITE-ARTICLE.mdなど任意の名前で構いません。

一言で言えば、AI/AIエージェントへの「指示書」です。

新しい社員やアルバイトスタッフが入ったとき、口頭で説明するだけでなく業務マニュアルを渡しますよね。それと同じです。毎回「こういう文体で書いてください」「引用はこのくらいの割合にしてください」と説明する手間がなくなり、AIが最初から一定の品質基準で動いてくれるようになります。

なお、AI/AIエージェントが生成した内容は、ルールを設定していても誤りが生じます。CLAUDE.mdは「完璧な記事を自動生成する」ものではなく、その後の編集・確認工程を効率化するための準備と考えてください。


なぜCLAUDE.mdが必要なのか

生成AIは、指示が曖昧だと「それっぽいもの」を生成します。文体も引用の量も、毎回微妙に違う。これはAIが悪いのではなく、AI/AIエージェントへの指示書が整っていないのです。

たとえば、単に「この文字起こしをもとに記事を書いてください」と指示したとします。AIは記事を書きます。しかし:

  • 口語表現(「やっぱり」「〜かなと思います」)がそのまま残る
  • 引用が多すぎて記者の視点が消える
  • 「今年」「先月」など、後から読むと意味が変わる表現が入る
  • 文末が「〜です」「〜ます」ばかりで単調になる
  • 発言者の帰属表現がパターン化して読みにくくなる

これらはすべて、プロの編集者なら「当たり前に直す」ことです。ところがAIは、言われなければやりません。逆に言えば、ちゃんと指示すれば、ちゃんとやってくれます

CLAUDE.mdは、その「ちゃんとした指示」を一度書いておけば、毎回自動的に適用される仕組みです。


CLAUDE.mdに書いてあること

アンジーが記事制作の実務で使っているCLAUDE.mdには、大きく分けて以下の内容が含まれています。

記事タイプの定義
インタビュー・講演レポート・パネルディスカッションを記事化する際、記者の地の文で展開するナラティブ形式や、話者の発言を並べる形式(アンジーではQ&A形式と呼んでいます)があります。このように、どんなアウトプットをするか、を定義して草稿を生成させます。

引用率の管理(15〜30%)
記事全体に占める直接引用の割合を15〜30%に収めるルールです。これを超えると「記者の視点がない記事」になり、下回ると「発言者の個性が消えた記事」になります。なぜこの数字なのかは、次回詳しく解説します。

口語表現の書き言葉変換
「やっぱり→やはり」「〜かなと思います→〜と思います」「しっかり→確実に」など、話し言葉をそのまま引用すると読みにくくなる表現を、書き言葉に変換するルール一覧です。

文末表現の多様化
同じ文末表現を3回以上連続させないルールです。「〜です」「〜です」「〜です」と続くと、小学生の作文のようになります。「〜と語った」「〜と説明した」「〜を示した」など、動詞のバリエーションを使い分ける指示を入れています。

絶対値表記のルール
「今年」「昨年」「先月」という表現を禁止し、「2025年」「2024年10月」と絶対値で書くルールです。記事は公開後も長く読まれます。「今年」と書いた記事が3年後に検索でヒットしたとき、読者には何年のことかわかりません。

発言者の帰属表現パターン
「〜と○○様は話します」「○○様はこう語ります。」「○○様によると、〜という」など、発言者の帰属をどう文章に組み込むかのパターンを定義しています。これがないと、毎回同じパターンになって単調になります。

プリセット設定
媒体ごとに「読者層」「文体」「文字数」「見出しスタイル」などを登録しておける機能です。「プリセットBで」と一言指示するだけで、その媒体の設定が自動的に適用されます。


CLAUDE.mdは「一度作れば終わり」ではない

重要なのは、CLAUDE.mdは完成品ではなく、育てていくものだということです。

アンジーのCLAUDE.mdは、年間500本以上の記事制作を通じて少しずつ改善してきました。「この表現が抜けていた」「このパターンを追加すべき」「このルールは逆効果だった」——実際に使い続けることで、初めて見えてくることがあります。

最初から完璧なものを作ろうとする必要はありません。まず使い始めて、問題が出たら直す。そのサイクルを回すことで、あなたの組織の文体・読者・媒体に最適化されたCLAUDE.mdができあがります。


次回から、各ルールを一つひとつ解説します

アンジーの記事制作で利用しているCLAUDE.mdのノウハウが詰まったmdファイルを、希望される方にお問い合わせ経由で配布しています。これは、インタビュー・イベントレポートを執筆するためのものです。

次回は、アンジーのCLAUDE.mdの中から引用率管理(15〜30%)のルールを取り上げます。「なぜAIが書く記事は薄く感じるのか」という問いへの、具体的な答えをお伝えします。

CLAUDE.mdの配布と、活用の伴走支援については、KIJI Baseのサービスページをご覧ください。


KIJI Baseについてのお問い合わせ・CLAUDE.mdのリクエストはこちらから
https://andg.net/kiji-base